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noteで復命書を作ってみた~日本で2番目に小さいまちの公開勉強会in東京編~ 

 三宅町役場みやけイノベーション推進部の岡野です。
 最近noteからご無沙汰してましたので、久々の執筆です。復命書シリーズなんだかんだで第3弾です。去る2月に「地方からはじまるソーシャルインパクト」のお題で、麻布十番にあるBIRTHLABにてイベントを開催して参りました。
 今回は、株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役社長 田口一成さまをお招きし、当町の森田町長、田中プロジェクトマネージャーとトークセッションを行いました。
 セッション中の行政にまつわるご発言をピックアップし、私個人の思いをご紹介しつつ、今後の三宅町の向かうべき姿について考察して参ります。

※本イベントについては、株式会社髙木ビルさま、株式会社funky jumpさまよりご寄附いただきました、企業版ふるさと納税を活用し実施しました。


 復命書

日時
令和6年2月13日(火)13時〜15時

用務先
BIRTH LAB(東京都港区)

用務
公開勉強会「地方から始まるソーシャルインパクト」の開催

復命事項
以下のとおり。
※あくまで復命書です。記載内容は筆者個人としての見解・感想であり、町としての公式な見解ではございません。



はじめに

 今回ゲストにお呼びしたのは、株式会社ボーダレス・ジャパンの田口さん。ボーダレス・ジャパンでは、「社会の課題をみんなの希望へ変えていく」というパーパスを掲げ、たくさんのスモールビジネスを展開し、「誰一人取り残さない社会」実現のため、ビジネスの在り方の変革にチャレンジされていいます。

※田口さんの著書、「9割の社会問題はビジネスで解決できる」にボーダレス・ジャパンの取組、そこに至るまでの過程が記されています!

 戦後右肩上がりの成長を続けてきた日本社会ですが、少子高齢化、人口減少はやがて確実に訪れる未来で、三宅町においても、人口が減少していく未来像を三宅町人口ビジョンで提示しています。そのような人口減少社会で三宅町は、まちの内外で多様な自治の担い手を増やし、社会課題の解決方法を増やすことで、持続可能なまちづくりを目指しています。 一方、田口社長はボーダレス・ジャパンを通じて、社会問題を解決するビジネスを生み出す仕組み作りを実践しておられます。

ボーダレス・ジャパンの取組をご説明いただく田口さん

これからの行政の役割とは

地域の課題に一番近いのは行政だと思う。地域内だけで解決しなくても、解決してくれるプレーヤーを外からも呼んでくるのがすごい大切で、行政はしっかり課題を洗い出す、課題提示をしっかりやることが重要。

田口さんのご発言より抜粋


 まちには様々な人が存在し、様々な活動をしています。それぞれがいろんなことを思い、いろんなことに気づき、いろんなことに価値を見いだしています。こういったまちに関係する人、つまりまちのステークホルダーが活動しやすくするため、みんなで話し合ってまちを運営していくことが「自治」であり、そして、「自治とは、分相応につくること。」であると考えています。
 「地域の課題に一番近いのは行政だと思う」という田口さんの発言がありました。一番近いのはもちろんですが、価値観が多様化する近年、イーブンな立場で地域課題に接することができるのは行政であると考えています。
 一人一人では解決できない課題を解決するために、自治の仕組みが生まれたことからすれば、当然ではあるのですが、自治≒行政≒役場となりつつある近年では、行政のそういった機能はどちらかというと、端っこに隠れてしまい、社会保障や道路の維持管理などが主要な役割になりつつあります。
 そして田口さんはこう続けます。「地域内だけで解決しなくても、解決してくれるプレーヤーを外からも呼んでくるのがすごい大切で、行政はしっかり課題を洗い出す、課題提示をしっかりやることが重要」
 vol1.での林篤志さんの講演で「昔は守るために閉じる戦略をとっていたが、これからの時代は手放さないといけない。徹底的に開いて守るという戦略になってきている」というお話がありました。
 今後行政としては、しっかり課題を洗い出して、その解決方法を広く求めていく、そしてそれを発信していく必要があると考えます。今後取り組むMラボでもこのプロセスを大切にしていきたいと考えています。

セッション中の1コマ

地域づくりの主役とは

地域づくりは住んでいる人が主役で、行政が何でもやるものではない。行政の仕事は改めて何かを考えると、主役が活躍する枠組みをつくるということだと思う。

田口さんのご発言より抜粋

 従来、地域づくりは住民が主体だったと思います。今でこそ、道路や橋梁といえば公共事業ということで、行政が維持管理の役割を担うことが多いですが、古くはムラ社会における構成員の役割として住民それぞれが役割を担っていました。諸説あるとは思いますが、戦後の経済成長期に、民と官との分業が進み、公共的な役割はすべて行政が担うこととなり、ある意味「公共」の領域が少し狭まったのではと思います。
 今、三宅町のみならず、日本社会全体においても、人口減少の局面に差し掛かっています。そして、近い将来そのピークを迎えることに伴い、生産年齢人口が減少し、行政分野(行政だけではないですが、)の人的リソースが減少していきます。

※総務省によると、全国の地方公共団体の職員数は平成6年度328万人をピークに令和5年度では280万人と約15%減少しているそうです。

 その一方で、社会が成熟することで、価値観が多様化し、やりたいことの総量はどんどん増加していきます。
 やるべきことの総量が増加しているのに、それを担当している人が減少している。実は現場ではすでに無理ゲーのような状況に突入しつつあるのです。
 では三宅町ではその無理ゲーをどのように攻略しようとしているのか。それが「行政の仕事は改めて何かを考えると、主役が活躍する枠組みをつくるということ」ではないでしょうか。三宅町はミッションとして「まちの夢の伴走者・共創者になる」を掲げています。まちが主体となって何かをするには正直なところ限界を迎えつつあります。コモンズつまり、共助の領域を伸ばしていく、そして共助の領域において主役が活躍できる枠組みをつくること、これが今後重要となってくると思います。

まとめ

 多様化する地域課題に対し、その解決方法を広く求めていく、それを発信していく必要がある、そして、共助の領域において主役が活躍できる枠組みをつくることが今後重要になってくるんだろーなーと気づいた1日でした。
 かつてのように役場に予算と人手があって何でもする(当然何でもするという気持ちは大切ですが・・・)、役場が何でもできる、100%コミットできる時代ではなくなりつつあります。じゃあそれをするために、行政は何ができるのか、何をすべきなのか。最初からこれといった答えを提示することは難しいかもしれません。ただ、日本で2番目に小さな町、三宅町だからこそできることはあるはず。今後も三宅町では、この難しい課題に対してチャレンジしていきたいと思います。


左から田中プロジェクトマネージャー、森田町長、田口さん