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今さら聞けない「GIGAスクール」って何?

三宅町教育委員会事務局の増田です。
先日、教育長の記事ではGIGAスクール構想を次の段階に進めるための「リーディングDXスクール事業」をご紹介しました。


文部科学省が進める教育とは

リーディングDXスクールという言葉も聞きなれない方も多いと思いますが、現在、文部科学省が進める取り組みには、聞きなれない言葉が多岐に及びます、、、

文部科学省の通知や資料で教育委員会でよく見る言葉としては、「主体的・対話的で深い学び」「探究」「STEAM教育」「リカレント教育」「インクルーシブ教育」「CBT」「コミュニティスクール」「教育デジタルトランスフォーメーション(DX)」「部活動改革(部活動の地域移行)」「働き方改革」などがあります。

皆さんは知っている言葉、説明できるものはありましたか?

ちなみに私は教育委員会に来るまで、ほぼ全て分かりませんでした…(行政に勤めて11年ですが、教育行政、文科省の複雑さをめちゃめちゃ感じます…)

教育委員会事務局に来てからの1年2ヶ月で感じたことは、社会で求められる人材が変化していることが、小中学校に通う子どもたちへの教育にも影響しているということです。

例えば、現在、三宅町の職員も行政の現状を把握して、分析し、課題を見つけて、自ら対応策、改善策を考えていくことが求められています。かつての地方行政は、前例主義で、これまでと同じ処理をすることや、国が進める事業を地方でも同じように進めることが多かったのではと思います。(注、個人的な意見です。)

かつての時代と今の時代では、行政の考え方もやり方も大きく異なるはずです。しかもこの10年間でもかなり社会の変化を感じるぐらいです。話題のマイナンバーが始まり、地方創生がもてはやされたり。それに伴い、行政が求める人材、職員として求められるスキルやバイタリティも異なっています。

同じように民間企業でも、工業、製造業が主流だった戦後から、IT化が進んだ現在では、求められる人材も異なります。

学校現場でも、社会に求められている人材を育成するために、教育として「主体的で、対話ができる」「深い学びができる」「探究ができる」「ICTができる」子どもたちを育てることが求められているのではと感じます。

その手段として、授業のやり方も、教壇から一方的に履修科目を教える方法から、児童生徒が主体的に能動的に対話を通じて学びあう方法へ変わっていこうとしています。

ICT教育が目指す方向性などは、後輩のUくんのこちらの記事でも少し触れています!ぜひご覧ください。


1人1台端末を配布してからの教育

話をGIGAスクールに戻します!
「GIGAスクール構想による1人1台端末が始まったのは、令和2年度。新型コロナウイルス感染症感染拡大により、若干の前倒しで導入されました。
当日小学1年生と3年生の我が子もコロナ禍の臨時休業中などにChromebook(クロームブック)を学校から持ち帰ってきて、オンライン授業を子ども部屋に引きこもって受けていました。

ただ、何をしているのか覗きに行っては、あっち行けと追い出されていたので、子どもたちが何をどうしてるのか、全く分かりません。

オンライン授業が終わると、子どもは「クラスルームに連絡帳が書いているねん。」「ミートで授業見るねん。」「ロイロノートで感想書くねん。」など、授業の様子を教えてくれるのですが、正直子どもたちが何言っているのかも全くわかりませんでした。

奈良県内のGIGAスクール構想

奈良県内のほとんどの市町村では、GIGAスクール構想での1人1台端末には、Googleの「Chromebook(クロームブック)」と呼ばれるタブレット端末を導入しています。どうやら、GIGAスクールを導入前に県内市町村で構成する協議会でどのようなものがよいか研究をして、「GoogleChromeがよいのでは。」となったようです。

そして、奈良県が全市町村から必要台数を取りまとめて端末の共同調達(入札)が行われました。入札により端末以外のいろいろなソフトウェアも購入しました。

タブレット端末「Chromebook」

Chromebookとは、Googleが提供するChromeOSが搭載されたタブレットです!一般的なWindowsのパソコンとは若干異なります。

パソコンと異なることは、例えば、モニターがタッチでもキーボードでも、操作できます!タブレットと呼ばれる所以です!

Chromebookのアカウントは、教育委員会で管理しており、教育委員会が発行したアカウント、パスワードを知らなければ利用することができない設定になっています。

そのため、三宅町では毎月数件のパスワードを忘れた児童生徒のパスワードの再発行依頼があります。授業で利用するため、どんな仕事があっても、最優先事項として対応しないといけません。

ちなみに、Chromebookは三宅町が購入して、児童生徒へ無償で貸与しています。故障時には、故意、重過失でなければ、保護者の負担なく、無償で修理にも対応しています。(業者から三宅町へは修理代の請求があります、、、)

また、Chromebookの耐用年数は5年を想定していますので新入学された1年生には、卒業した6年生の端末を初期化して利用してもらっています。

メインのソフトウェア「Google Workspace for Education」

また、端末には、Windowsオフィスのワードやエクセルはありません。Googleが提供するドキュメントやスプレッドシートを使います。しかも、Google Workspace for Education(GWS)という、クラウドサービスとして利用されます。

このGWSで、最も利用しているのは「classroom(クラスルーム」」です。classroomは、学級ごとに作られて、それぞれの児童と先生が一つのclassroomで、授業の案内をしたり、資料を配布したり、課題を出して提出を求めたりしています。いわゆるクラスごとの連絡帳や掲示板のようなものです。

そのため、授業が始まり、児童生徒がタブレットを開くと、まずclassroomを開いて、授業で使う資料を見たりします。

ビデオ会議ツール「Google Meet(グーグルミート)」

コロナ禍に大活躍したのが、「GoogleMeet」です。臨時休校中の授業や、コロナで休学をしないといけなかった児童生徒が自宅からでも授業に参加するために、利用していました。

また、さまざまな理由で学校へ行けない子どもたちが、授業へ参加(閲覧のみの場合もあります。)する手段としても利用できました。


学習支援ツール「ロイロノート」

現在、三宅町でよく使っているソフトウェアは、「ロイロノート」です。子どもたちの意見を集約して、意見を比較したり、発表したりするときに使います。

去年、学校の授業を見学させてもらったときには、6年生のクラスでは、ロイロノートを使って、広島への修学旅行で学びたいことを一人一人が付箋のようなシートに記載して、一人一人が考えた事を発表をしていました。

フィルタリングソフト

現在、県内の教育委員会でよく議論されているのが、フィルタリングです。子どもたちがタブレットを自宅に持ち帰ったときの、利用時間の制限をするか、どのようなサイトの閲覧を禁止すべきか、閲覧履歴の管理をどうするかなど、議論や試行錯誤を重ねている分野です。

三宅町では利用時間の制限はしていませんが、ギャンブルやアダルトなど、児童生徒が閲覧するべきではないサイトの閲覧を制限しています。

デジタル教科書

まだ、本格導入前ですが、教科書もデジタル化されつつあります。文部科学省のモデル事業として、三宅町の小学校では、英語の教科書は従来の紙の教科書の他に、デジタル教科書を試験導入しています。

デジタルの強みを活かして、紙では伝えられない英語の発音などを聞くことができます。

デジタル学習ドリル「学習eライブラリー」

さらには、学校での確認テストや自習時間、自宅などでの予習、復習などができる学習ドリルも導入しています。


学習eポータル「L-GATE」

さらにさらに、中学校では全国学力学習状況調査(いわゆる全国学力テスト)では、タブレットを使った英語の話すことテストが行われました。
この全国テストを実施するため、いろいろなサービスがありますが、試験的にL-GATEというシステムを導入しています。

国からの通知はまだありませんが、中学、高校から徐々に導入され、小学校のテストでも学習eポータルが用いられ、学力や学習状況の見える化を行っていくのではと想像しています。


令和7年度の次期端末更新に向けて

令和2年度に一気に導入されたGIGAスクール構想での1人1台端末のシステム、ソフトを簡単に説明しましたが、本当に多岐に渡ります。

正直、現場の先生方は、それぞれの教科の、様々な単元で、どのシステムを、どのように組みあわせて、授業を作り上げていくのか。かなり悩みながら、運用されているのではないかと思います。

とは言いつつも、GIGAスクール構想が始まり3年目です。令和2年度に購入したタブレットも5年を迎える令和7年度には更新(買い替え)をしないといけません。

小学校1校あたり、児童と先生の端末が270台程度必要になるので、端末だけで2000万円程度(それ以上か!?)のお金が必要になります。ソフトウェアも含めると更に費用が、、、

行政としては、それだけ費用を投じるので、一定の効果が求められるため、国もGIGAスクール構想を推進するため、リーディングDXスクール事業に取りかかりました。

全国でも、三宅町の学校でも、正直まだまだ1人1台端末を活用しきれていない現状があります。国はリーディングDXスクール事業なども活用しながら、GIGAスクール構想を更に進めていっています。
三宅町教育委員会事務局としても、次の端末更新の残りの2年間でもう少し子どもたちの学びの環境づくりより良いものにしたいと思います。

今年は教員資格を持った後輩がUくんを含めて2人もいますので、社会教育でももちろん。学校教育では、学校運営を支えながらも、子どもの学ぶ力を育む支援をして行ければと思います。

(毎度毎度長文になる癖が治らず、お時間いただき、すいません。次回はもう少し短めにしたいです…)