役場VSハト
「総務課」の仕事
組織には仕事を効率的に行うために「部署」がありますよね。
もちろん三宅町にも色んな部署があります。
例えば、「税務課」
多分、税金のことを担当している部署なんだろうと、部署名でなんとなくどんな仕事をする部署かわかりますよね。
では、行政・民間に関わらずほとんどの組織にあるのに、どんな仕事をしているか部署名からはわかりにくいものがあります。
そう、「総務課」です。
今回はそんな総務課の仕事についてお話ししたいと思います。
先に自己紹介を少し。
私は入庁2年目、総務課の長谷川です。2年目といっても中途採用なので年齢はそこそこ。
前職でも「総務課」に所属していましたが、仕事内容は全く違いました。
三宅町の総務課には「防災」「電算」「給与」「人事」「秘書」「選挙」「消防」「防犯」などなど、いろんな業務が詰め込まれています。それぞれに担当者がいて、副担当者がいて、その中でたまたま私は「財産管理」いわゆる「管財」の担当者になりました。
「管財」がどんな仕事かと言うと、例えば庁舎の設備の保守点検を発注したり、調子の悪いところを修理したり、手に負えないときは業者さんに修理を依頼したり、中には職員にも「こんなことまでするんや」と言われるような作業をすることも。
そんな管財の仕事の中でも、特に変わった仕事を一つ紹介します。
役場VSハト
その仕事は一言で言えば、役場VSハト。
私が入庁した当時、庁舎の周りをかなりの数のハトが飛び回っていました。
私自身のんきに、ただただ「いっぱいハトがいるなぁ」程度に考えていましたが、実はこれがけっこうな問題だということに後々気づかされます。
みなさんはハトに対してどんなイメージを持っています?
「平和の象徴」とか、「朝方変な鳴き方してる」とか、「車で近づいてもなかなか飛ばないやつ」とか、色々あると思います。
ですが、めちゃくちゃイヤなイメージを持っている方は少ないのではないでしょうか。
1年間ハト対策に奔走した私にとってハトは、これ以上ないほど明確な「敵」でした。
ハトが庁舎に寄りつくことの何が問題か。
一番大きい問題は「糞害」です。
糞、つまりウンコによる被害があちこちで起こっていました。
ハトの糞が実はけっこう危険であることを知っていましたか?
かくいう私も今回の件をきっかけに知ったのですが、ハトの糞には病原菌、カビ、寄生虫が大量に含まれており、素手で触るのは絶対にNGらしいです。
もちろん、臭いもあります。見栄えも悪いです。建物の劣化にも繋がります。空調や給水管が汚損されるとさらなる被害に繋がる恐れもあります。
そんな糞害が庁舎のあちこちで起こっていました。
そうです、三宅町役場の庁舎は、ゆっくりと、しかし確実に、ハトによって浸蝕されていたのです。
私がハト対策の引き継ぎを受けたのは、暑さが迫る6月頃だったと思います。
私の前任の方、それ以前の担当者の方々が必死に戦ってきたことを物語るように、庁舎のあちこちにハト除けの防鳥ネットが張られていました。
ですが、まだ対策ができていない箇所、時間が経ってネットが外れてしまった箇所、対策はしてあってもお構いなしにハトが侵入している箇所、十分な対策がとれているとはいえない状態でした。
ぶら下がったままのボロボロのネット、役目を果たせず糞まみれになるトゲトゲシート、さぞ無念だったでしょう。
託されたバトン
歴代の管財担当者の想いをのせたバトンが私に託されました。
対策に使う予定だったたくさんの防鳥ネットと結束バンド、そしてハト対策に懸ける熱い想いを前任の方から引き継ぎ、その無念を晴らすべく行動を開始しました。
まずはハトをよく観察することに。
掃除員の方にも色々と話を聞かせてもらいました。
どうやら掃除員の方がマメに掃除をしてくれているだけで、実際には目に見えている以上に至るところで糞をまき散らしているようでした。
始めてしまうと気になって気になって仕方がありません。
毎日のように増える糞に腹が立ち、飛んでくるところを見かけると腹が立ち、挙げ句の果ては余所で見かけるハトさえも憎たらしく感じるようになりました。
さて、ここからが対策の話です。
はじめに手を付けたのは1階部分。庁舎と、隣接する文化ホールの間の通路、2階のベランダ床の裏側に当たる”ひさし”部分です。
”ひさし”部分にはハトがとまるのにおあつらえ向きな配管がいくつもあります。そこを丸ごとネットで覆い、ハトが配管にとまれなくすることから始めました。
10メートル×1メートルほどのネットを切り貼りし、3メートルほどの脚立にのぼり、コンクリートの壁にボンドでフックを貼り付け、ちょうどいいところに配管があれば結束バンドで結ぶ。手前味噌ではありますが、なかなかの出来映えでした。
何度かの作業で”ひさし”全体をネットで覆うことができました。
張り終えた直後、常連とおぼしきハトが、いつも通り配管にとまるため飛んできました。
そして、ネットに突っ込み、いつもと様子が違うことに気づきます。配管にたどり着けないのです。
それでも何度か挑戦を繰り返し、とまれないことを確認するとようやく去っていきました。
その後も同じハトなのか、はたまた違うハトなのか、何度か挑戦者が現れては去っていくが繰り返されました。
それからしばらくの間はちらほらとハトの挑戦は続きましたが、さすがに学習したのか1年以上経った今となっては寄りつくものもいません。
試行錯誤
次にとりかかったのは2階、3階のベランダ部分。
1階部分よりは少ないもののこちらも配管や手すり、小窓のようなちょっとした出っ張りにハトがよく遊びに来ていました。
1階部分のように全面を覆うことが難しい構造だったので、ハトがとまりやすそうな配管にトゲトゲのシートを設置することからはじめました。
2階、3階のベランダで脚立にのぼってする作業はまあまあ怖かったです。
一通り作業を終えて、しばらく様子見。
結果としては、なんの成果も得られませんでした。設置の仕方が悪いのか、ハトは平気でトゲトゲシートの上に乗り、シートの上に糞をしていました。
さらに、この作業をしている中で大問題を発見してしまいました。
なんと、庁舎の一部がハトの集会所化していたのです。
この件についてはまた次回。
とにもかくにも2階、3階の対策は失敗に終わり、次の手を考えることに。
ネットを使うにしても部分的に覆うのは難しい。
脚立を立てて複雑な作業をするのは危険。
どうしたものか、、、。
次回に続きます。