教育委員会×まちづくり=地域とともにある学校づくり?
こんにちは。
教育委員会事務局の増田です。
あっという間に、夏休みが始まってしまいました…
そして、私の上司である教育長が変わって4ヶ月。
4ヶ月の間に、大泉教育長が挨拶をした回数は恐ろしくほどありました。先日ようやく挨拶がない会議があり、ほっとされていたそうです。。
そんな大泉教育長の様々な挨拶で、たびたび出てくる言葉があります。
それは「学校づくりを、まちづくりの一環として行っていきたい。」という言葉です。
まちづくりの一丁目一番地は「子育て」
私は教育委員会事務局に異動する前には、政策推進課という課に所属しており、地方創生や協働のまちづくりなどの「まちづくり」を担当しておりました。
政策推進課は、行政部局(首長部局や町長部局とも言われたりもわれたりもします。)として、町長とともにまちづくりの中心となる総合計画、地方創生総合戦略、過疎地域持続的発展計画、公共施設等総合管理計画やmiimoを建てたときの複合施設基本構想、複合施設基本計画などの計画を策定したり、いろいろなまちづくりを行なっています。
そんな政策推進課で一番に感じていたことは。
三宅町は、様々な計画において「子育て」を一番に考えている。ということです。
例えば、市町村で一番最上位の計画である「総合計画」の一番目の施策は「子育て」が掲げられています。
そして、少子化対策を中心に、持続可能なまちづくりを目指している地方創生総合戦略でも、「まちが元気になる仕組みをづくり」の次に、「まちぐるみで子どもを育てる仕組みづくり」を目標にしています。
そしてそして、miimoのグランドコンセプトも「子どもたちが、まちのみんなが、もっと三宅を好きになるため」として、子どもたちへの視点を最初に持ってきています。
これらの計画を見ていても、三宅町全体としての取り組みの一丁目一番地は、「子育て(教育)」と言っても過言ではありません!
「子育て」と「教育」が区別されている!?
「子育て(教育)」と書きましたが、「行政での子育て」と「社会での子育て」とは少し言葉の意味が異なるのではと感じています。
具体的には、私自身も子育て世代の一人ですが、「子育て」という言葉の理解としては、産後からの乳幼児、幼児期の「育児」という意味と、一人の人間として成長を見守り、成人するまで人間関係や社会生活を学んでいく「教育」という意味を含んでいるという認識です。
(*最近ではリカレント教育など生涯学習も注目されていますが、学校教育を想定しています!)
ただ、行政職員としての自分からは、教育委員会や学校が行う「教育」が、三宅町(首長部局)が行う「子育て」からは少し離れたところにあるように感じていました。
実際に「教育」と「子育て」は、三宅町の行政組織でも明確に区別されています。「教育」は教育委員会が担当し、「子育て」は児童福祉として健康子ども局が担当しております。
法律上も「教育」は、政治的に中立であることが求められることから、町長は教育内容には権限を持っていません。教育内容についての権限は、「教育委員会、教育長」が持っています。
知っている方もいるかもしれませんが、教育委員会への異動(配属)は、「出向」扱いになります。民間企業、会社でいうと、本社から子会社や関連企業への異動と同じでしょうか。組織として、三宅町役場と教育委員会は異なるのです。
開かれている「子育て」と、閉ざされている「教育」??
そんな「教育」と「子育て」が違う扱いをされていることもありますが、政策推進課にいるときには、「子育て」は開かれているが、「教育」は閉ざされているとも感じていました。
実務でも、「子育て」は、市町村の職員が担当者として行うことができますが、「教育(学校教育)」は、市町村の職員が行うことはできません。「学校教育」は、教員免許を有する県が任用する教職員が担当します。
そんな組織的な違いもあるためか、現在、三宅町から全国へ発信されている取り組みは、「幼児園での手ぶら登園(おむつのサブスク、使用済みおむつ持ち帰りの廃止)」「グリコなどの企業との子育てプロジェクト」「まちアート三宅町」「子育てアプリ」はすべて健康子ども局での「子育て、児童福祉」としての取り組みです。
一方、「教育」は校門やフェンスに囲まれた学校で行われており、校長先生と教頭先生以外の小学校の教員の方との接点はなく、教育委員会事務局にくるまでは、教育委員の方すら知りませんでした。
役場のなかですら情報がなかったので、「教育(学校)」は、「行政(三宅町役場)」からも少し距離をとっていて、独立し、独自の取り組みをしていたように感じてもいました。
(個人的には、同じ三宅町で働く職員として、かねてより学校の先生との飲み会に参加したり、仕事以外の関りも持ちたいなと思っているのですが、教育委員会事務局に所属してもなお実現していません・・・)
まちづくりの一環としての教育、開かれた教育、地域とともにある学校へ
そんなこんなで、大泉教育長が掲げる目標の一つが、学校づくりをまちづくりの一環として行うための手段として「コミュニティ・スクール」を導入することです。
「コミュニティ・スクール」という言葉は、自分自身もあまり聞き馴染みがなく、「地域社会の学校」なのかとも思っていましたが、文部科学省の定義は次のとおりです。
つまり、学校と地域が連携して、一緒に協働しながら子どもたちを支える取り組みです。
なんだか、最初に話したMiiMoでの取り組みとの共通しそうな気がしています。
「地域とともにある学校づくり推進フォーラム」へ参加してみて
まだまだ自分もコミュニティスクールについての理解がないため、とりあえずいろいろなセミナーや説明会の参加して、情報の引き出しを増やすことにしました。
先日参加したのは、7月15日(土)に茨城県で開催された「地域とともにある学校づくり推進フォーラム」。さすがにいきなり現地参加はいろいろなハードルが高いため、自宅からオンラインで参加。
このフォーラムは、座談会と事例発表の2部構成になっていました。
座談会では、「これからのコミュニティ・スクールに期待すること」をテーマに文部科学省の方や市町村の担当者や大学教授などの有識者が登壇。
事例紹介では、茨城県内の市町村の担当者などによる、それぞれの事例が発表されていました。
登壇者の一人である茨城県水戸市の担当者が地域に設置された市民センターを中心としたコミュニティスクールの運営について話をされていました。
水戸市の取り組みの特徴は、地域ごとに設置されているセンターの館長が、学校と地域をつなぐ「地域コーディネーター」としての役割を持ち、学校の抱える課題を地域で解決できる方などとマッチングして、学校と地域が協働して課題解決をしていくいうものでした。
具体的には、総合的な学びとしての地域学習で、地域コーディネーターが学校が求める地域の歴史に詳しい専門家とのマッチングを行ったり、学校と関わる地域の方が学校の取り組みをまとめたコミュニティスクール通信を発行したり。それぞれの得意分野で、それぞれができることをされているという報告をしていました。
また、他の市町村では、不登校の児童生徒への支援を学校ではなく、地域に詳しい民生児童委員が担当し、児童生徒や保護者との連携をしていくという事例を報告されていました。学校の教職員は県の職員なので、学校のある市町村のことに詳しくない場合があるので、それぞれの方が得意分野を活かして課題を解決しているとの事例も紹介されていました。
学校は地域の奉仕者ではなく、地域も学校の御用聞きではない
そんなセミナーで一番印象に残ったのは、「協働ということは、学校の先生が地域の行事に動員されたり、地域の方が学校の雑務をするのではない。」という旨の登壇者の言葉でした。
協働を継続するためには、お互いがwin-winな関係でなければなりません。どちらかが負担に感じているなら、その協働はその方の善意でのみ成り立ち、継続していくことは難しい状況がくるのではと思います。
もっとも、それは行政を含む様々な取り組みにも言えることかもしれません。住民の方の負担はもちろん、行政側の負担が大きくても、協働の取り組みを継続して行うことは難しくなります。
学校に話を戻します。最近のニュース番組でも報道されていますが、学校の先生は、むちゃむちゃ残業をしているのが現状です。
三宅町の学校でも、校長先生教頭先生をはじめ、多くの教職員の方は文部科学省、奈良県、三宅町も上限としている月45時間の超過勤務を軽く超えているときもあり、三宅町の職員と比較しても、飛び抜けて残業をしています…(しかも、教職員には特措法により時間外手当は支給されないんです…)
三宅町教育委員会事務局でも教職員の働き方改革を進めていますが、まだまだ教職員の負担の改善はできていません。
そんななか、コミュニティ・スクールを導入し、地域が学校と協働してくれるということが、子どもたちにとっても、教職員の働き方改革にとっても良い面があるはずです。
ただ、学校と地域の協働の仕組みづくりには、いろいろなカタチが考えられますが、それぞれにとって過度な負担がなく、それぞれにとってwin-winな関係を築くことは簡単ではないように思います。
初めての学校と役場の合同職員研修を開催します!
コミュニティ・スクールについての県とのヒアリングでも、「導入は慎重に進めないといけない。」と指摘を受けています。
先に導入した県内の他の市町村では、意見だけを言われ、行動を一緒にしてくれない場合など、上手く地域との協働ができていない事例もあるようです。中心となる住民の方を一度選任すると、学校運営に対する方向性が異なっていても簡単には解任できなかったりしてしまうようです…
ただ、コミュニティ・スクールの導入にはリスクばかりではありません。
学校にも、地域にとっても、よい効果があるような協働のカタチをみつけるため、文部科学省の認定するコミュニティ・スクールマイスターの西祐樹さんを講師に迎え、8月25日に初めての学校と役場の合同職員研修として、コミュニティ・スクールのあり方についての研修会を開催します!
まだまだ検討が始まったばかりで、不安も多いですが、教育委員会が伴走者となり、学校、地域、役場の連携を強くして、協働のまちづくりを進めていきたいと考えています。