学校の安全はどう守る?
三宅町教育委員会事務局の増田です。
先日、小学校の校長先生と教頭先生より「あるもの」をいただきました。
それは、また最後にご報告します。
教頭先生から校長先生が殉職との報告!?
ここから本題です。
去年の夏頃に小学校の教頭先生から「先日校長先生、先生数名が殉職し、児童数名も亡くなってしまいました。」との報告がありました!!!???
「えっ!?」と血の気が引いたのですが、詳しく聞くと、毎年警察と協力して実施している「不審者対策を兼ねた防犯訓練の結果報告」でした。(よかった…)
犯人役は奈良県警察生活安全課の現役の警察官。教職員や児童には訓練があるとだけ伝えられて、どのタイミングで、どこから侵入してくるかは秘密のまま、実践さながらの訓練だったそう。
犯人役の警察官は、校門からではなく裏側のフェンスから侵入。職員室から離れた教室へ侵入して犯行に及びました。異変に気づいた校長が現場に急行すると、その場で殉職、、、
校長が殉職して、犯人役の警察官が別の校舎へ向かったところで児童や先生の声が職員室まで聞こえたようで、ようやく全館放送で避難を呼びかけることができました。その後に、教職員数名でようやく犯人役の警察官を取り押さえることができたようです。
訓練の主催者でもある教頭先生は訓練の様子を教育委員会事務局の執務室で詳細に話してくれました。
そして、学校では訓練での惨状を冷静に分析され、対策を考えてくれていました。
訓練直後の当初予算の要求で、学校から教育委員会に対して各教室への連絡体制を強化する放送設備の増設を提案。(今年度に予算化されています!)
さらに、教職員同士で連絡を取り合うためのトランシーバーを担任の先生に配布。
さらにさらに、Amazonビジネスで「さすまた」を購入。(「さすまた」は教頭先生の机のすぐ後ろに置かれて、いつでも最前線に駆けつけられるようにされています。)
学校には危険がたくさん、、、
文部科学省や奈良県教育委員会からは、日常的に、また、大きな事件が発生すると臨時的に、さまざまな注意喚起が頻繁に届きます。
(先日も大阪の柏原市の小学校に不審者が侵入したというニュースがありましたね…)
それだけ、学校には危険(リスク)が潜んでいることのことなんだと考えています。
例えば、学校にはこんな危険が。
熱中症やプールでの事故
通学、下校途中の交通事故や事件
在校中の気象警報、地震、火災
給食による食中毒、異物混
食物アレルギーによるアナフィラキシーショック
校庭遊具などでのケガや事故
体育や部活動などでのケガや事故
老朽化した校舎外壁の落下によるケガや事故
ハチなどによるケガ
新型コロナウイルスなどの集団感染
それ以外にも人的なリスクなども。
児童生徒に対するいじめ
家庭などでの児童虐待
教職員による体罰、性犯罪やハラスメント
ヤングケアーなどの児童の家庭環境による問題
教職員や児童生徒のメンタルヘルス
教職員の時間外労働(長時間労働)
などなど。
子どもたちへのリスクは校内だけでなく、登下校途中、家庭、家庭以外での活動など、至るところにが潜在しています。
校長先生や教頭先生をはじめとする先生方は、常にこれらのリスクを想定して、日々の学校運営を行っています。
万が一事故や事件が発生すると
事故や事件が発生すれば、たちまち児童生徒への対応、保護者対応、警察など関係機関への対応、市町村や県教育委員会への報告なども行わなければなりません。(県教育委員会から提出が義務付けられている報告書の様式も数えきれないぐらいあります、、、)
全国のニュースを見ていると、いつどこで発生してもおかしくないのではと思うことがあります。(他人事としては、捉えられません…)
自分自身、教育委員会事務局への異動が分かったときにはこんなことを考えていました。
それは、謝罪会見。
ニュース番組では、事件や事故で、教育長や校長先生などが並び、記者からの質問に対応し、謝罪している様子が放送されていたことから、いつか自分にもそのようなリスクが降りかかるのではと、、、
教育委員会事務局での対応
教育委員会事務局でも、学校のリスク対応を行なっています。
例えば、
建物、設備の定期点検や修繕
遊具の安全点検、修繕
校庭の樹木(超巨大なメタセコイア)の樹木診断
←今年度新たに予算をつけてもらいました!防犯カメラの設置の検討
←現在予算化に向け調整中。埼玉県での事件を受け、今年から国の重点対策期間となり補助金が増額されることになりました。住民の皆さんへのヤングケアラーを認識していただくための普及啓発
いじめ対策の連絡協議会の開催
いじめ、不登校など学校生活の問題についての教育相談の実施
給食設備を整備しての食中毒対策
などなど。
リスクを少なくするための連携
ただ、様々なリスクを少なくするには、学校と教育委員会事務局だけでは対応できない問題がとても多いのが現実です。そのため、縦割りの行政ですが横串での連携を行っています。
児童虐待での連携は万全
児童虐待に関しては、三宅町役場健康子ども局健康子ども課が中心となり、県の児童相談所、福祉事務所、警察や、民生児童委員、PTAなど様々な機関や関係者とも連携して、リスクの早期発見、早期対処を行っていただいています。
健康子ども課の職員の方々とは、以前担当していた特定健診、グリコなどとの子育ての取り組み、広報誌の記事作成、コロナ対応での備品整備などいろいろやりとりをしていたのですが、課長や担当職員の知識、経験や熱量の高さを至る所で感じていました。(個人的に健康子ども課への異動も熱望していたのですが、なかなか叶いません…)
児童虐待でのやりとりを見ていると、健康子ども課の児童虐待の担当者や課長の対応力やフットワークの軽さは、小規模自治体の利点を活かし、児童福祉の分野ではどの市町村にも負けない手厚さがあるのではと思うほどです。
例えば、出生直後の乳幼児健診から認定こども園まで担当しているため、子どもの名前を伝えるだけで、記録を見なくても、幼少期から現在までのいろいろな情報を把握されている様子が伺えます。
通学路の安全確保の連携も万全
また、通学路の安全確保でも、奈良県、警察、三宅町役場まちづくり推進部産業管理課・まちづくり推進課、三宅町役場総務部総務課、PTA、地域のボランティアの方々などと連携して、道路整備、交通安全対策、通学指導を行っていただいています。
先日も、道路管理をしている土木管理課と協力して、通学路の草刈りを行いました。
教育委員会事務局では年数回の出動だけですが、あとのほとんどは土木管理課の職員や、土木管理課より発注した業者さんが対応してくれています。
学校と地域との橋渡しを
子どもたちの安全は学校や教育委員会事務局だけでは、到底確保できないため、様々な協力をしていただいている方々には、ほんとうに感謝しかありません。
教育委員会事務局の一職員としては、学校と地域、関係機関や関係者の方々との連携をよりよく行えるように事務局が橋渡しの役割を行っていくことが学校の安全確保のために必要だと考えております。
冒頭の「あるもの」とは、、、
話は変わりますが、冒頭の「あるもの」とは「お見舞い」でした。
先々週、通学路上の雑草で子どもたちの歩くスペースが狭くなっていると保護者の方から連絡をいただいた箇所の草刈りを土木管理課の職員と協力して行っていたところ、チェーンソーみたいな、バリカンみたいな草刈機で歩道の横から飛び出てくる草や低木の枝をバリバリと剪定していると、自分の指先も剪定してしまったのです…(情け無い…)
一緒に作業をしていた指導主事の先生や同僚の職員の方に看病してもらいながら、人生で初めての救急車に乗り、病院に救急搬送。
診断は「左手指不全切断 左示指末節骨開放骨折で全治2ヶ月」だそう。
恥ずかしいありさまなので、学校には伝えないようにと思っていたのですが、校長先生、教頭先生は当日に情報を取得されていたようで。(情報の取得の速さが、事務局と学校の関係の近さを感じます。)
そんなこんなで、校長先生と教頭先生からのお見舞いをいただくこととなりました。
お心遣い申し訳ありません…
教頭先生からはお返しは固辞しますとのことですので、まずは仕事でお返しをしたいと思います。
近々、リベンジとして残りの草刈り作業をしたいなと思っています。(上司や同僚には「ケガしてるからダメ!」ときっと止められるんだろうな…)
ケガをした指はまだまだヒリヒリし、通院中ですが、日常生活には問題ありませんので、皆さまご安心ください!
今回のケガの件で家族にも言われたことですが、「いつ今の平穏な生活がなくなるか」は本当にわからないものです。1日1日を大切にしていきたいと思います。